子どもはちょっと注意が必要？ 発熱・吸湿性下着の利用について

冬場は発熱性・保温性下着が手放せない方は多いのではないでしょうか？ 薄手のインナー1枚でとても暖かいから、冷えが心配なお子さんにも着せてあげたくなりますよね。でも、この機能性下着、子どもの利用にはちょっと注意が必要です。

そもそも発熱・吸湿性下着の仕組みって？

人間は何もしなくても、1日に約0.8Lもの汗をかくと言われています。汗をかくことにより発生した水蒸気を吸い込み、服の繊維が吸いこむ（ぶつかる）ときに生まれる「熱」を利用して体を暖かく保ってくれるのが、発熱・吸湿性下着です。この現象はどんな服でも起こるのですが、これらの下着はよりすばやく、より肌に近い所で起こさせることで暖かさを生み出しているのです。

発熱・吸湿性下着には、「なかなか乾かない」という特徴が

寒さ対策として今や欠かせない人も多い、発熱・吸湿性下着。とてもよく考えられた素晴らしい商品ですが、注意すべき点はないのでしょうか？

実は、「なかなか乾きにくい」という特徴があります。発熱・吸湿性下着は、上でご紹介した通り汗をすばやく吸って発熱しています。吸水性がいいということは、水分を取り込むのはとても得意。でも、吸った水分を逃すのは苦手です。

つまり、たくさん汗をかくとその水分が蒸発されにくく、かえって汗で体を冷やしてしまうことがあります。

子どもはとても汗っかき！ 下着選びには注意が必要です

赤ちゃんや子どもは、とても暑がり。そして、小さな体に大人と同じ数の汗腺（汗の出口）があるため、とても汗っかきです。走りまわって遊んだ時や夜寝ている間など、気づかないうちに汗でびっしょりになっていることが多々あります。

うっかり大人の感覚で発熱・吸湿性下着を着せていると、汗によりかえって冷えの原因になることも。体が冷えると免疫力が低下し、風邪などの感染症の一因になります。

肌の観点からも、子どもへの使用は避けた方がベター

発熱・吸湿性下着は、次のような肌トラブルも引き起こしやすく、肌の観点からも子どもへの使用は避けた方がいいと言えます。

①あせも

先ほど「下着に汗が残ると冷えを引き起こす」とお伝えしましたが、汗によるトラブルはそれだけではありません。うまく下着が汗を蒸発させないと、いつまでも肌にも汗がついた状態が続き、あせもを引き起こしやすくなります。特に寝汗をかきやすく、汗をかいていても長時間気づきにくいおねんね中に、あせもができてしまうことが多いようです。

②化学繊維による肌荒れ・かゆみ

発熱・吸湿性下着は、主に化学繊維でできています。肌の弱い方やアトピー性皮膚炎の方にとっては肌の刺激となり、かゆみなどのトラブルを引き起こしてしまうことがあります。赤ちゃんや子どもはまだ肌が成長段階で、とても未熟でデリケート。肌の刺激になるかもしれないものは、なるべく避けた方がいいでしょう。

③肌の乾燥

吸湿性がいい分、肌の水分も奪いやすいのが特徴です。また、繊維の特徴から静電気も起こりやすく、これらが原因で肌の乾燥が起こりやすくなっています。皮膚科のお医者さんによっては、肌の乾燥などのトラブルを起こしている患者さんに、発熱・吸湿性下着の使用を避けるように指示する方もいるようです。

子どもの下着は「綿」がおすすめ◎

「じゃあ、子どもの下着は何を選べばいいの？」と思いますよね。一番のおすすめは「綿」の肌着です。綿はやわらかくて肌触りもよく、汗をしっかり吸ってくれます。しかも吸った汗が乾きやすいのも嬉しいポイント！ 肌がデリケートで、汗っかきな子どもにはもってこいの素材です。季節を問わず、さらっと快適に過ごすことができます。

ただし、綿を選んでおけばオールOKというわけではありません。次の快適に過ごすための下着のポイントを頭に入れておきましょう。

これでカンペキ◎ 肌着の快適ポイント3か条

①買い替えはこまめに

いくら肌触りのいい素材でも、洗濯を繰り返しているうちにだんだんとゴワゴワになります。着心地も肌へのやさしさも、吸湿性も低下します。破れたりサイズが合わなくなっていなくても、生地が痩せて薄くなってきたら買い替えるようにしましょう。

②プリント部分が少ないものがおすすめ

綿は汗をしっかり吸って放出もしてくれる素材ですが、文字やイラストなどがプリントされていると、しっかりその効果が発揮されないことがあります。綿の柔らかさも損なわれることも。直接肌に触れる下着は、なるべくプリントのない綿素材そのものだけのものを選びましょう。

③汗をかいたらこまめに着替えを

赤ちゃんや子どもの肌は、10分汗を放置しただけでも「あせも」になることがあると言われています。いくら綿が吸湿性に優れていると言っても、放置は厳禁。汗をかいていたら、こまめに着替えさせましょう。着替えの時は、柔らかいおしぼりなどでこすらないように肌を押し拭きし、汗を肌の上に残さないようにするのがおすすめです。

おわりに

冬の寒さを軽減してくれる、発熱・吸湿性下着。子どもにも着せてあげたくなりますが、汗っかきの子どもにとってはかえって冷えの原因になることがあります。子どもには発熱・吸湿性下着は避け、肌触りがよく汗をしっかり吸って乾きやすい「綿」素材の下着を選んであげましょう。